「-ません」のテ形

Joschl

Senior Member
Japanese
接尾辞「-ます」 の否定形を作るためには接尾辞 「-ん(< ぬ)」を使います。伝統文法の枠内では 「-ん」の連用形は「-ず」であり,テ形はないことになっていると思いますが,「-ませ-ず」だけでなく、「-ませ-んで」という語形も耳にすることがあります。試しに「*ませず(,)申し訳ありませんでした」と「*ませんで(,)申し訳ありませんでした」を使って検索してみると,両方の例文が見付かります。副詞節内で丁寧体が使われる確率は一般的に低めだろうと思いますが,皆さんは「-ませ-ず」と「-ませ-んで」のどちらを頻繁に使いますか。
 
  • 個人的には、接客の場面で「電話をいただいた時に、わかるものがおりませんで、失礼いたしました」のように使うことはありますね。ここで「ませず」の置き換えは極めて不自然です。

    国会図書館デジタルコレクションにおける単純比較でも、それぞれの検索語に対するヒット数は
    ませんで: 775,264
    ませず: 61,845
    なので、「ませず」は古い時代においてさえ優勢ではなかったといってよさそうです。
     
    Flaminius said:
    [...]「ませず」は古い時代においてさえ優勢ではなかったといってよさそうです。
    そうすると,その「-ん(< -ぬ)」の活用変化の現状は,今の「口語文法」では未だに考慮されていないということですね。大辞泉の「-ぬ」の補足に,
    ◆打消しの助動詞は、共通語においては「ない」を用いるのが普通で、「ます」に続く「ん」以外の「ぬ(ん)」は、主に文語的表現や慣用句的表現に使われるだけであるが、関西を中心とする西部の方言では「ぬ(ん)」が広く用いられる。連用形「ん」は「んで」「んでも」の形で用いられる
    という記述がありますが,「連用形『ん』は『んで』『んでも』の形で用いられる」のは,主に「関西を中心とする西部の方言」ということなのか,「『ます』に続く『ん』」の場合には,日本全土でそうなのか,私には分かりません ("[...]の形で用いられる"でなはくて"[...]の形で_用いられる"とあります)。

    接尾辞「-ます」にではなくて,本動詞に「-ん」を接続させる場合には,連用中止法として「-ず」(±に)を使っても,私自身には何の違和感もありませんし,テ形を使う場合には「-んで」ではなくて,意味に応じて「-ないで」か「-なくて」を使うと思います。ですから,「-んで」に対する語感には,「-ます」に接続させるか,本動詞に接続させるかによって違いがあります。もっとも関東出身の私には「-ない」を使う確率の方が「-ん」を使うそれより遥かに高いですし,日本を離れてからかなりの年数が経っているので,「-んで」に対する語感にはあまり自信がありません。
     
    個人的には文中では「ず」を使うのが一番自然だと思いますが、「ませず」か「せんで」のどちらかを使わないといけないのであれば「せんで」を使います。

    "ませず申し訳ありませんでした”でグーグル検索しましたが、どれも違和感のある(「ませず→ず」と言い換えるべき/言い換えられる)ものばかりでした。

    1) あまり当ブログの更新ができませず、申し訳ありませんでした。 →あまり当ブログの更新ができず、申し訳ありませんでした。
    2) 中止連絡が行き届きませず、申し訳ありませんでした。 →中止連絡が行き届かず、申し訳ありませんでした。

    1)は違和感しかありまん。2)はそこまで違和感はありませんがやはり「ず」を使う方が自然だと思います。
     
    KLAUSED said:
    1) [...] → あまり当ブログの更新ができず、申し訳ありませんでした。
    2) [...] → 中止連絡が行き届かず、申し訳ありませんでした。
    従属節内では,丁寧体を避けるということですね。
     
    従属節内では,丁寧体を避けるということですね。
    会話では問題ないと思いますが、文章で丁寧体が使われているのを見ると2)のような比較的違和感のない例であってもこなれていないと感じます。
     
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