助数詞「本」は結構多義的で、統一的な説明は難しいと思います。一応、「テキスト4540本」に似た用法を挙げておくと、「記事10本を先に納めて」(
うに子: クラウドワークス)とか「CM契約が1本もない」(
スポニチ)のような例があります。濱野 (2006:90)によれば「本」の容認可能性の条件の一つは話者の視点であるようで、
「3本の展覧会」は専門家の発話としてはあり得ても、一般人の立場では不自然としています。
続く記述からすると、
抽象的製作物における「本」は、話者がその作成過程を意識していることが起源なのではないかと思われます。作成過程が直線的にイメージされるとすれば、「本」がメトニミーとして動員されることも納得できます。
濱野寛子「助数詞「本」の多義性に関する認知言語学的考察」『言語科学論集』第12巻 (2006年12月)、77-93ページ。
https://doi.org/10.14989/88054